Power DeliveryはUSBの規格
Power Delivery(PD)は正式には「USB Power Delivery」という名称で、共通規格である「USB」の策定管理団体「USB Implementers Forum」が定める「USB Type-C」に対応した給電規格です。USB Type-Cコネクタの端子が全てUSB Power Deliveryというわけではなく、専用のポートが必要になります。
USB Power Deliveryは、供給電力が大きいため、ノートパソコンなどに採用されることが多くなっていますが、最近ではスマホでも対応モデルが出てくるようになっています。
また、AppleのiPhoneシリーズの充電ポートでああるLightningポートは、実はUSB Power Deliveryに対応しているため、「USB type-C to Lightning」ケーブルを使うと、USB Power Deliveryで高速充電が可能です。
Power DeliveryはPCの充電も前提としているため、最大で100Wの充電が可能です。
Quick ChargeはQualcommの独自規格
主にAndroidスマホで採用されることが多いのがQuick Charge。Power Deliveryが業界規格であるUSB基準だったのに対して、こちらはQualcommというチップセットメーカーの独自規格です。
スマホなどのモバイル端末で使われる前提なので、最大出力が18Wと小さくなっています。
なお、日本で一番売れているAppleのiPhoneシリーズはQuick Chargeには対応していません。
Power DeliveryとQuick Chargeの違い
Power DeliveryとQuick Chargeの違いを見てみましょう。
項目 | Power Delivery | Quick Charge |
---|---|---|
規格策定 | USB-IF | Qualcomm |
ポートタイプ | USB type-C | USB type-C、micro USB |
最大出力 | 100W | 18W |
対応機種 | USB type-Cがあり、充電規格がPDの全ての機器 | QualcommのSnapdragonシリーズ搭載端末(2013年以降のモデル) |
大きな違いは対応機種です。
Quick Chargeが同社のQualcommのSnapdragonシリーズを搭載した端末に限るのに対し、Power DeliveryはUSB type-Cと充電規格がマッチしていればどんな端末でもPower Deliveryとなります。
モバイルバッテリー・ACアダプタを選ぶ際はどちらが良い?
数年前まではスマホのチップセットはほとんどがQualcommだったため、AndroidスマホであればQuick Charge対応のモバイルバッテリー・ACアダプタであれば問題ありませんでしたが、現在ではQualcomm以外のチップセットを搭載したスマホが多くなってきているので、実質「Quick Chargeはあまり意味がない」という状況になりつつあります。
逆に、AndroidでもPower Delivery対応端末が増えてきている状況と、ノートPCだけでなくニンテンドーSwitchまでUSB type-Cになっている状況から考えると、今後はPower Delivery対応のモバイルバッテリー・ACアダプタを買っておくのが安心です。
ただし、ニンテンドーSwitchは現在のモデルは独自の充電規格になっているので、純正品か認定品以外で充電すると故障する可能性があるため使わないようにしましょう。
スマホの充電方法のPower DeliveryとQuick Chargeの違いについてみてきました。
かつては急速充電の象徴的な存在だった「Quick Charge」ですが、徐々にはPower Deliveryに置きかわっていきそうですね。